
ちゃんとミックスしたのに、あと一歩何かが足りない。
あのアーティストの音にならない…。
それ、もしかしたら「マスタリング」で解決できる内容かもしれません。
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今回紹介するのはこちらの書籍。
「DAWではじめる自宅マスタリング」
自身も作曲家として活動される、江夏正晃さんによる解説書です。
この本のポイントはこちら。
- 意外と知らないマスタリングの定義がわかる
- 完全初心者でもマスタリングの方法を理解できる
- 「マスタリングから逆算した良いミックス」がわかる
- マスタリング後のCD・配信リリース工程までカバー
- 教材のwavファイルを使って、音の変化を感じながら理解できる
ミックスと比べるとあまり馴染みがない、
初心者には理解しにくい「マスタリング」を自宅でイチから行う方法が解説されています。
独学で辿り着くには時間のかかる情報が満載。
「マスタリングって何?」
「難しそうであんまりよく分からない」
「だけど自分の曲をもっとレベルアップさせたい」
という方にかなりオススメ。
内容をかいつまみながら、感想も交えて紹介してみたいと思います。
そもそもマスタリングとは?
内容の前に、まずは「マスタリング」そのものについて。
ミックスが終わった後に待ち構える最終工程。
本来はCDやレコードを生産するためのプレス用マスターを作る作業を指しますが、
近年ではミックス作業を終えた後の2mixに対して、
EQやコンプを用いてブラッシュアップする編集作業のことも指すようになりました。
マスタリングとは、いわば膠やニス、つや出しのようなものです。iPhoneスピーカーから、ダンスクラブの大きなサウンドシステムにいたるまで、あらゆるデバイスでの再生で音質を最適化します。マスタリングは、アーティストと愛好者とのギャップを埋めてくれます。
LANDRより引用
ただし、マスタリングは魔法でも万能でもありません。
材料が揃っていなければ料理が完成しないのと同じで、
ミックス段階で適切な処理が行われ、魅力的なサウンドになっていなければ
マスタリング段階でもそれなりの音しか実現できません。
逆に、100点のミックスに100点のマスタリング処理を施せば、
120点の楽曲にパワーアップすることがあるのです。
最後の微調整であり、必ず音が良くなるものではない。
だけど曲の魅力を引き上げられる可能性を秘めた、とても重要な工程なのです。
より理解を深めたい方は、Vocal-EDIT.comさんのブログがとても参考になります。
初めてでも分かる適切なマスタリング方法
”自宅マスタリング”とタイトルにある通り、
DAWソフトさえあれば行えるマスタリングの方法が基礎から語られています。
リファレンス曲の活用、音圧を上げる方法、EQ・コンプの使い方…
とりあえず書いてある通りの工程を行ってみるだけでも、かなり理解が深まります。
タイトルに騙されてはいけない…?!
タイトルだけ見るとマスタリング専門書のように感じる方もいるかもしれません。
しかし実はミックス技法についてもしっかり解説されているのです。
フェーダーによるバランスの取り方といった基本的なところから、
マスタリングでの調整を見据えたミックス技法など、
意外と知らない、だけど必要な技法がふんだんに語られています。
ミックスとマスタリング、それぞれの工程で出来る事・出来ないことを理解すれば、
曲を磨くために取れる手段・選べる選択肢が増えていきます。
wavファイルで音の変化を体感!

マスタリング・ミックスについて学ぶ際、1番重要なのは
良い音の「定義」や「判断基準」を自分の中に落とし込むことです。
解説用のwavファイルが付属しているため、プロがどのようなミックスをするか
ビフォーアフターを比べながら体感することが出来ます。
EQ・コンプなどのエフェクト設定例も載っているため、
「自分でエフェクトを適用し、違いを聴き取る」とより理解が深まります。
(▲DAW標準プラグインで行える処理なので、有料のプラグインが無くてもOK)
同じ内容のCubaseプロジェクトも付属しているので、
Cubaseユーザーはより幸せになれるでしょう。
マスタリングエンジニア・森崎雅人さんとの対談も付属
マスタリングエンジニアである森崎雅人さんとの対談が収録されています。
マスタリングに対する考え方、実際に使用する機材・ソフトなどから、
プロのマスタリングがどのように行われているかを知ることができます。
iZotope社のマスタリング用ソフト「Ozone」についても語られており、
モジュールの使用例、変わったEQの活用法など、とても読みごたえがあります。
森崎さんのTwitterではマスタリングに関する様々な情報を発信されているので、
チェックしてみるとさらに世界が広がるかもしれません。
まとめ
僕がこの本を読んで一番大事だと感じたトピックは、
「トータル・プロデュースの感覚を養う」ということ。
本来
「作曲家」「ミキサー」「マスタリングエンジニア」
これらはそれぞれ別の職業であり、1人がすべての知識を持たずとも作品は成立します。
しかしDTMerはこれら全ての工程を自分で行います。(すごい!)
そこが個人の強みにもなるわけですね。
全ての工程を見通して作業を行うことで、例えば
- 「ミックスの際マスキングが起こるから帯域を分けて編曲しよう」
- 「マスタリングで音圧を上げると中域が目立つから、ミックスでやや控えめにしておこう」
といった、先の工程を見越した判断を下せるようになります。
最初から最後まで、楽曲の全てに責任を持つDTMer。
その強みを武器に、自宅マスタリングのメリットを最大限活かしていきたいですね。
皆さんもぜひチェックしてみてください!
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マスタリング作業にオススメのヘッドホンレビュー!
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